理科が伸びない原因は、覚えていないことより、「覚えたつもり」で先に進んでしまうことにある場合が多いです。
点数を見ると、思ったより取れていません。子どもは「ちゃんと勉強した」と言います。ノートも見た。ワークもやった。赤シートでも確認した。ここでしやすい誤判断は一つです。「見ていたなら、だいたい覚えているはず」と考えることです。
でも、理科は「見た」だけでは点になりません。用語を見て、意味がすぐ出るか。漢字で書けるか。似た言葉と混ざらないか。ここが曖昧だと、問題を解く前に止まります。蒸散と蒸発、直列回路と並列回路、質量パーセント濃度と溶解度。見たときは分かった気がしても、テストではすぐ出ません。理科で点が低い子は、勉強していないのではなく、用語が入る前に先へ進んでいることが多いです。
親から見ると、家でもやっているように見えます。ワークを開いている。赤シートを使っている。ノートも見返している。だから安心しやすいです。ですが、その勉強で増えているのは「見た回数」であって、「書ける言葉」が増えていないことがあります。理科でまず必要なのは、何となく見たことがある状態ではありません。聞かれたら答えられる状態です。
4月は新しい単元が始まり、用語が分からないまま授業が進みます。5月は定期テスト前になり、学校ワークを埋めることが先になります。6月にテストが返ると、「前より勉強したのに理科が上がっていない」という結果が出ます。結果として、本人は理科が苦手だと思い込み、親は勉強量が足りないと思いやすくなります。同じやり方のまま、また次のテストに入ります。
理科はまず、用語を「見た」ではなく「言える・書ける」に変えることです。最初から全部の問題を解き直す必要はありません。先に、教科書やワークに出てくる言葉を絞って、意味を言えるか、漢字で書けるかを確かめます。ここが入るだけで、問題文の読みやすさが変わります。理科は、用語が曖昧なまま問題演習を増やしても、点は動きにくいです。
塾で進める時に気をつけているのは、気合いの入れ方ではありません。今のテスト範囲で先に固めるべき用語は何か、です。どの言葉が抜けているか。どの単元から入れ直すか。家庭学習でやるべきなのは、まず言葉を絞って、言えるか書けるかを確かめることです。やらない方がいいのは、全部をまとめて復習しようとして広げることと、見直しただけで入ったと思うことです。中学生の理科で先に直したいのは、本人の向き不向きではありません。用語のインプットの方法です。


