小数につまずく子の多くは、計算が苦手なのではなく、その前の「しくみ」が頭の中でまだつながっていません。
とくに
・1/10、1/100、1/1000という言葉
・数字のどの位置を指すのか
この二つが結びついていないと、途中で必ず手が止まります。
先週、小学4年生の男の子と進めたときもまさにそうでした。
普段の内容(英語と分数の予習)を終え、お迎え待ちの間に学校の宿題プリントに取りかかったところ、小数の問題で手がピタッと止まっていました。
問題はこれ。
「1.25の1/100の位はどこ?」
数字は読めていますが、どの桁を指せばいいか判断できず、視線が数字の中を行ったり来たりする。
これは、小数点を基準に桁を構造として理解できていないときに出る典型的な止まり方です。
小数は、言葉(1/100)と位置を同時に保持して判断するため、概念が未形成だと迷いが生じます。
こうした場面では、まず迷いを断つために
「この桁だよ」とあっさり示す方法も有効です。
ただし、それだけでは理解は残りません。
その後に必ず、概念の確認と固定を行う必要があります。
この子とは数回かけて
・小数点を基準にする
・右へ進むほど1/10、1/100、1/1000になる
・桁の名前と位置を一致させる
という「小数の地図」を作り直しました。
牛乳パックやペットボトルの容量など、身近な量を使うとイメージがつきやすく、理解がぐっと深まります。
理解が安定してきたら、あとは反復で固定。
この「位置 → 概念 → 反復」という順番が崩れると、誤った理解が残ることがあります。
小学生の算数は、ミスの多さより「どこで止まるか」を見る方がずっと重要です。
止まるには必ず理由があり、その理由を丁寧に取り除いていくことで、学力は安定して伸びていきます。



