先に変えるべきなのは声かけの回数ではなく、家で勉強に入りやすい習慣です。
夜九時すぎ。子どもはリビングでスマホを見ています。親が「勉強したの」と聞くと、「あとで」と返ります。少ししてまた聞くと、また「あとで」です。中学生が家で勉強しないとき、ここで外してほしい考えは「そのうちやる気が出れば始める」ということです。
家で勉強が始まらないのは、気持ちの問題だけではありません。今日は何をやるのか。どこから始めるのか。どこまでやったら終わりにするのか。この三つが決まっていないと、毎回そこから考えることになります。すると、机に向かう前に時間がかかります。少し休む。スマホを見る。また時計を見る。勉強そのものより、始める前の時間だけが長くなります。
親は心配だから声をかけます。言わなければ本当に動かない日があるからです。ただ、このやり取りが続くと、勉強は「自分で始めるもの」ではなく、「言われてから考えるもの」になりやすいです。親も子どもも、勉強の中身より先に、始めるまでのやり取りに時間を使うようになります。家で増えているのは勉強時間ではなく、勉強前の会話です。
このままだと、困る時期はすぐ来ます。4は新学年の授業が始まり、最初の内容が曖昧なまま進みます。5月は定期テストが近づき、学校ワークと提出物が重なります。6月はテスト結果が返り、「家でもやっていたはずなのに点に結びついていない」という形で出やすくなります。結果として、勉強していないことより、家での勉強が積み上がっていないことが問題になります。
できることは一つです。家での勉強を「やる気が出たら始める」から、「同じ流れで入りやすくする」に変えることです。たとえば、始める時間を決める。最初に開くものを毎日同じにする。最初の一問だけは迷わない形にする。終わりも長く引っ張らず、区切りを決めておく。これだけでも、家での勉強はかなり始まりやすくなります。大事なのは、立派な計画ではなく、入りやすい形です。
塾でよくお話しするのは、気合いの入れ方ではありません。家で勉強に入りやすくする順番です。最初に何をやるか。どこまでやるか。学校課題の量を見ながら、今の子に合う形はどれか。家庭でやるべきなのは、その順番をしばらく固定することです。家庭でやらない方がいいのは、その日の気分で内容を変えることと、何度も声をかけて動かそうとすることです。中学生が家で勉強しないときに、先に直したいのは、本人の行動ではありません。家で始めやすくなる習慣です。








