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2025年末、ここまでの流れを3点で整理しておきます。
主に私立の大学入試では、推薦入試やAO入試が拡大し、合格が年内に決まる「年内入試」が主流になってきました。その後、名称は「総合型選抜・学校推薦型選抜」に整理されましたが、実態としては入試の早期化が進みました。
さらに近年、一部の大学で「年内に学力試験を行う」動きが出てきたことで、制度の線引きが揺れ始めています。
この動きに対し、文部科学省は強い禁止措置ではなく、
「大学に自制を促す」
という表現で、過度な前倒し競争をけん制しています。
参考になる一次情報としては、以下が比較的安定しています。
・文部科学省「大学入学者選抜実施要項(令和8年度入学者選抜)」
https://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/senbatsu/1410301.htm
・年内入試での学力検査を条件付きで容認する流れを整理した教育系報道
https://reseed.resemom.jp/article/2025/06/04/11024.html
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こうした背景を踏まえた上で、よく聞かれるのがこの問いです。
年内入試で、受験は楽になったのか。これから、もっと楽になるのか。
現場で見ていての実感を言うと、「楽になったように見えるだけ」というのが正直なところです。年内に合格が決まることで精神的な負担が軽くなる生徒は確かにいます。ただし、それは努力が減ったという意味ではありません。むしろ、準備のスタートが大きく前倒しされました。
年内入試は、高校3年の秋から本気になる受験ではありません。遅くとも高2の終わりから、高校での成績、学習習慣、志望理由を言葉にできる状態が求められます。一般入試のように「この教科をこのレベルまで」という分かりやすさがない分、何をどこまでやれば安心なのかが見えにくい。その不透明さが、「楽そう」という印象につながっているだけです。
最近、年内に学力テストを導入する大学が増えてきたのも、自然な流れだと感じています。書類や面接だけでは、基礎学力の見極めが難しい。大学側がそう感じ始めている以上、総合型・推薦型でも学力が重視される方向に進むのは避けられません。文科省が警戒しているのも、「学力を見ること」そのものではなく、それが一気に前倒し競争になることです。
では、これから年内入試はどうなるのか。
おそらく、年内入試は残ります。ただし、中身は少しずつ一般入試に近づいていく。しかも、ルールははっきりしないまま進む。これが一番現実的な見通しです。
だからこそ、受験生にとって大事なのは、「年内か、一般か」を早く決め切ることではありません。国立大学や一般の学力入試に備えるのか。それとも、年内入試を見据えて内申点や活動実績を積み上げていくのか。どちらか一方に賭けるのではなく、考えながら過ごすこと。その姿勢が、今の入試では一番リスクが低い。
年内入試があるからといって、学力(not 学校の成績)を後回しにしていいわけではありません。一般入試を考えているからといって、内申や日々の授業を軽視していいわけでもない。基礎学力を固め、定期テストを丁寧に取り、自分の高校生活を振り返って説明できる材料を積み上げる。この積み重ねができている生徒は、年内でも一般でも、結果的に選択肢が広がります。
いち学習塾としての結論は、ここに尽きます。年内入試は近道ではありません。スタートが早い別ルートです。だからこそ、「どの入試でも詰まらない状態をどう作るか」を一緒に考えていく。それが、今の時代に塾が果たすべき役割だと考えています。
もちろん、2月1日以降の一般入試に賭けて、夏まで思い切り遊び通す、という選択もあります。それも一つの戦略です。ただしそれは、「遊んでも最後に取り返せる学力がある」ことが前提です。そこを見誤ると、単なる準備不足になります…!


