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「失敗してもいいじゃない」と思えるまで

2026 9/26
コラム・教育記事
2026年9月26日

ウチの塾は「解き方をおしえる」だけの塾じゃない。失敗を重ねるための塾でもあります。

 難しくない問題で間違える。分かったつもりでテストを受けたら点数が足りない。立てた勉強の予定が続かない。…塾に通っているのにこんなことで失敗した!と思うと、話しづらいかもしれません。でも、塾ではそういう話を隠さずにしてほしいです。本人が困っていることを知らないまま、正解した問題だけを数えたくはありません。

 その「隠さずに」が、まずノートで難しい。今年も去年も、中1は頑固な「ノートのミスは絶対に消すマン」です。間違えると、すぐに消しゴムで消してしまう。完璧主義に染まっているのか? …いや、消さなくてもバツを書いて下に続ければいいじゃない!? ノートは神聖で、ミスで犯すべからざるもの也? これには、私は激しく抵抗します。

 でも、その子にとってノートのバツは、私が思うより重いのかもしれません。間違いを消して正しく書き直すことが、その子なりの「直す」なのかもしれない。「ミスを残して」と言われたら、「間違ったままにして」と聞こえるでしょう。きれいに仕上げたいのか、誰かに間違いを知られたくないのか、マルが欲しいのか。理由は一人ずつ違うはずです。数週・数カ月通っただけで、本音まで話してくれるとも限りません。

 私には、間違えた式が残っている方が教えやすい。でも、それだけを理由に「消さないで」と言えば、先生のために嫌なものを残せという命令になります。その子が直したいと思っている気持ちも、ちゃんと受け止めたいです。私は、失敗したことを話してくれた生徒を、その場の正解だけで評価したくありません。どこまで自分で考えていたのかも、知りたいのです。

 バツの下で解き直しをすれば、間違えた式の下に直した式が残ります。大人には小さな違いでも、いつも消してきた子には抵抗があるでしょう。一度説明すれば納得するとは思いません。「間違えても怒られなかった」「次の行で直せた」という経験を、少しずつ重ねてほしいのです。ノートのバツは、できなかった証拠で終わりません。

 テストの点が足りなかったとき、悔しくて話したくない子もいるでしょう。勉強の予定が続かなかった子も、自分で決めたことを守れなかったと気にしているかもしれません。そこへ「もっと頑張ろう」とだけ言っても、次の日から何を変えればいいのか分かりません。テストの点や評定を軽く扱うつもりはありません。学校の授業は先へ進むので、失敗に気づいたら、何を取り戻せるか早く決めなければならない時もあります。戻るところや優先することを一緒に決めますが、先に欲しいのは、うまくいかなかったと正直に言える関係です。

 歴史や理科でも、一度正しい用語を答えたら終わりとは考えていません。別の問い方をされたら言葉に詰まることもあります。そのとき「さっきはできたのに」と責められるより、「ここはまだ曖昧だった」と言える方が、もう一度考えられます。分かったふりをしなくてもいい。その上で、別の聞かれ方にも答えられたら、点数だけでなく本人の自信にもなるでしょう。

 子どもには「失敗してもいいじゃない」と思ってほしい。でも、言葉で励ますだけでは信じられないでしょう。ミスを残したノートの下に、正しいルートに直した式がある。崩れた予定を組み直して、今度は続けられた。失敗した自分を隠さずに済み、そこからやり直せた。その経験を、塾で何度も持ってほしいのです。

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この記事を書いた人

川上晃のアバター 川上晃 代表

 個別塾fabstudy代表。家庭教師・個別指導の現場で30年超。家庭教師派遣会社で上位認定を受け「スーパー」「プロ講師」、中学受験担当の家庭教師などを務めた。
 小学生から高校生まで、基礎・補習・テスト対策・高校入試・大学入試まで幅広く対応。これまでの生徒には高校の評定平均4.9到達という子もいるが、数学赤点から青山学院大学合格、3浪目で私立大学医学部合格など、厳しい状況から進路につながった例もある。
 指導で重視しているのは目の前の問題を解かせることだけではない。なぜ手が止まっているのか。どこに戻れば動き出すのか。どの量なら続けられるのか。学習が進まない原因を見極め、今取り組む内容・戻る場所・進める量を決めていく。
 基礎からやり直したい生徒にも、定期テストで得点を上げたい生徒にも、受験に合格したい生徒にも、今の状態から次に進むための道筋を具体的に作っていく。

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