夜九時すぎ。まだ机に向かっていない。リビングでスマホを見ている。親が「勉強したの?」と聞くと、「あとで」と返る。少ししてまた聞く。また「あとで」。中学生が家で勉強しないとき、まず考えたいのは、このやり取りです。
ここでうまくいっていないのは、やる気そのものではありません。勉強の中身でもありません。問題なのは、勉強の始め方が決まっていないことです。何時に始めるのか。最初に何を開くのか。どこまでやったらその日は終わりにするのか。それが毎日決まらないまま夜になっている。だから、勉強そのものより、始める前のやり取りばかり増えていきます。
親はつい声をかけます。言わなければそのままやらずに終わる日があるからです。それ自体はおかしなことではありません。ただ、毎晩言っても始まらないなら、足りないのは声かけの回数ではありません。必要なのは「夜九時になったら、まず学校ワークを開く」という約束です。毎日その場で動かそうとすると、勉強より、言った言わないのやり取りばかりが残ります。
このまま四月を過ぎて、五月の最初の定期テスト前になると、学校ワークの残りが一気に重くなります。週末にまとめて埋めるしかなくなる。そうなると、ワークは出すためのものになって、解き直しまで回りません。家では毎日勉強の話をしているのに結局進んでいない。いちばんきついのは、この形です。
どうにかルールづくりしてしまいたいのが「毎日同じ時刻に、学校ワークを一ページだけやる」こと。まずはそこを固定したい。別の教材もいりません。やめたいのは、その場で「今日は何やるの」「何分やるの」と聞くことです。決めるのは前、やるのはその時間です。
家でこの形が作れないなら、相談してください。まず、取りかかりやすい形に整えていきます。何時に始めるのか。最初に何を開くのか。親はどこまで声をかけて、どこから引くのか。そこが決まると、家で毎晩同じ話をくり返さずにすむようになります。今必要なのは、もっと言うことではなく、毎日同じように始められる形を作ることです。

