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高1の文理選択は「将来の夢」だけで決めなくていい

2026 6/02
コラム・教育記事
2026年6月2日

 高1の文理選択が始まる時期になると、「理系にした方がいいですか」「まだ将来やりたいことが決まっていません」という相談が増えてきます。
 高校1年生ですから、まだ決まっていなくて当然です。大学の学部も仕事の種類も、まだ知らないことの方が多い時期です。部活も忙しい。友達関係もある。高校生活に慣れるだけでも、けっこう大変です。
 それなのに、「将来を考えて文系か理系か選びなさい」と言われる。これはなかなか酷な話です。

 もちろん、将来の夢や行きたい学部があるなら大事にしたいところです。ただ、文理選択では、その前に考えて欲しいことがあります。
 高2以降の、その勉強量を続けられそうかどうかです。

目次

理系は数学と理科の勉強量が増える

 理系を選ぶと数学と理科が増えます。もちろん生徒によりますが、数学は体感で1.5~2倍くらい重く感じるかもしれません。
 授業時間が単純に倍になるという話ではありません。問題は、家で処理する量です。

 数学は授業を聞いて終わりではありません。自分で問題を解く時間が必要です。理科も、用語を覚えれば終わりではありません。分かったつもりでいても問題になると手が止まることがあります。理科は基礎の完全理解のあとに例題・基本問題をやって欲しい。
 理系を選ぶということは、「数学と理科に、今まで以上の時間を使う」という選択でもあります。

高2を経験する前に選ばなければならない

 文理選択の難しいところは、高2を経験していないのに高2のコースを選ばなければならないことです。
 高2理系の勉強量をまだ知らない。物理や化学がどれくらい大変になるかも、まだ実感としては分からない。それでも高1のうちに決めなければなりません。

 だから「将来何になりたいか」だけでなく「高1の今まで、どれくらい勉強を続けられていたか」も重要な点です。まだ先のことは分かりません。気持ちも変わります。興味も変わります。だからこそ、高1までの過ごし方を材料にして考えるしかありません。

高1までの学習習慣を判断の材料に

 例えば、普段から英語や数学の勉強ができていた。分からない問題に、しっかり時間をかけられていた。テスト前だけでなく日頃から少しずつ動けていた。そういう生徒なら、理系に進んでも戦いやすくなります。

 一方で、毎回テスト前に追い込まれている。提出物だけで精一杯。定期テストが終わると勉強が止まる。そういう状態なら、高2理系に入ってから「思ったよりきつい!」となってしまいます。

 数学が好きだから理系。数学が苦手だから文系。そう単純には決められないところがあります。数学が好きでも勉強時間を作れなければ苦しくなります。反対に、今はそこまで得意でなくてもコツコツ時間を使える生徒なら伸びることもあります。
 文系を選ぶことは逃げではありません。戦略です。自分に合った勉強量と自分に合った進み方を選ぶことでもあります。

文系なら年内入試も早めに視野に入れる

 文系を選ぶなら、一般選抜だけでなく、総合型選抜や学校推薦型選抜も早めに頭に入れておいてください。私立大学では年内入試で合格が決まる生徒が6割を超えました。評定平均・欠席日数・英検などの資格・探究活動・学校内外での活動実績。こうしたものは高3になってから急にそろえるのが難しいものです。高1・高2の過ごし方が出願するときの材料になります。

 文系を選ぶと、理系に比べて数学や理科の負担は軽くなるかもしれません。ただ、その時間を何に使うかが大切です。英語を伸ばすのか。評定を安定させるのか。検定を取るのか。探究や活動を形にするのか。文系は楽になる、というより、時間の使い方が変わります。

中学生のうちに選べる状態を残しておく

 中学生の保護者の皆さまにも、少し先の話として知っておいてほしいことがあります。文理選択は高校1年生の話ですが、実は中学校の勉強ともつながっています。

 中学の数学で方程式・関数・図形があいまいなまま高校へ進むと、高校数学でかなり苦しくなります。理科も同じです。計算問題を避けてきた。理由を考える問題を暗記で済ませてきた。グラフや表を読む問題が苦手なまま来た。そういう状態だと、高校で理系を選びたいと思ったときに選択肢が狭くなります。
 中学生のうちに大事なのは、将来の文理を早く決めることではありません。高校に入ってから選べる状態を残しておくことです。

 そのためには、数学と理科を「嫌いだから後回し」で終わらせないこと。満点を取る必要はありません。ただ、分からないところを放置しすぎない。計算・関数・図形・理科の基本問題で、手が止まりすぎないようにしておく。

高校数学の処理量についていけるように

 私が家庭教師をしていた頃から、そして今の塾でも、中3の段階で意識していることがあります。それは、高校数学の処理量についていける状態をつくることです。
 高校に入ってから数学でつまずく。問題を解くのに時間がかかりすぎる。宿題を終わらせるだけで精一杯になる。そうなると、高校生活全体がかなり苦しくなります。

 反対に、中学内容をある程度余裕のある状態にして高校に入ると、高校生活はぐっと楽になります。数学に全部の時間を取られない。部活や友達との時間も作りやすい。高1の後半になって、「もっといけるかもしれない」と思える余地も出てきます。
 理系に挑戦したいと思ったなら、ぜひ挑戦してほしいと思います。もちろん簡単ではありません。ただ、本人が「もっといける」と思えたなら、その気持ちは大事にしたいところです。可能な限り、こちらもサポートしていきます。

 高2の勉強量だけは確実にやってきます。夢やイメージだけでなく、これまでの学習習慣と、これから続けられる勉強量も合わせて考えてほしいと思います。

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どこから始めると進みやすいのか。
何を使い、どのくらい進めると手が動くのか。
実際の授業を通して、お子さんに合う学習の形を確かめてください。

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この記事を書いた人

川上晃のアバター 川上晃 代表

 個別塾fabstudy代表。家庭教師・個別指導の現場で30年超。家庭教師派遣会社で上位認定を受け「スーパー」「プロ講師」、中学受験担当の家庭教師などを務めた。
 小学生から高校生まで、基礎・補習・テスト対策・高校入試・大学入試まで幅広く対応。これまでの生徒には高校の評定平均4.9到達という子もいるが、数学赤点から青山学院大学合格、3浪目で私立大学医学部合格など、厳しい状況から進路につながった例もある。
 指導で重視しているのは目の前の問題を解かせることだけではない。なぜ手が止まっているのか。どこに戻れば動き出すのか。どの量なら続けられるのか。学習が進まない原因を見極め、今取り組む内容・戻る場所・進める量を決めていく。
 基礎からやり直したい生徒にも、定期テストで得点を上げたい生徒にも、受験に合格したい生徒にも、今の状態から次に進むための道筋を具体的に作っていく。

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