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成績より先に、「普通」が固定されていく

2026 9/15
コラム・教育記事
2026年9月15日

 皆さん、いかがでしょうか。高校生は夏休み前の2回のテストで、中学生は今回の期末テストで、自分の立ち位置が決まってしまった感覚がありますよね。

目次

自分の中の「普通」が固定される

 そこで怖いのは、その立ち位置が自分のコンフォートゾーンになってしまうことです。

 ここでいうコンフォートゾーンは、必ずしも満足している場所ではありません。嫌ではあるけれど慣れてしまい、「まあ、このくらいか」で受け入れられる範囲です。

 60点が続けば、60点でも驚かなくなる。赤点ギリギリが続けば、「今回もこんなものか」と感じるようになる。成績が固定されるより先に、自分の中の「普通」が固定されていきます。

 たとえば、前回と今回のテストが「赤点回避」で、そこでホッとしちゃった。そういうことであれば、おそらく来年も再来年も、赤点回避でホッとしている自分がいます。そんなもんです。

 こうしてできた「赤点を回避できればいい」という普通は、並大抵の努力では変えられません。高校生だけではありません。大人でも難しい。

戦う相手は、同級生ではない

 自分の中にできた「普通」を、自分で破る。これが「克己」です。

 今から約2400年前、プラトンは『法律』の中で、人は自分自身の敵であり、自分に打ち勝つことが最初にして最善の勝利だ、という趣旨を語りました。

 テストが返ってくれば、同級生の点数や順位が気になるでしょう。しかし、誰かの点数を見ても、自分の勉強時間は増えません。

 ここから戦う相手は、同級生ではありません。「自分はこのくらいだ」と納得しかけている自分です。次も同じ点数で仕方がないと思うのか。もう少し上を目指して、今までとは違う行動を選ぶのか。変えなければならないのは、まず自分の中にできた基準です。

一人で自分と戦う必要はない

 克己は難しい。自分の意志だけで毎日自分に勝ち続けるのは難しい。ただし、自分の敵が自分だからといって、一人で戦う必要はありません。

 一人で勉強するときは、始めるかどうか、何をやるか、どこまで続けるかを、すべて自分で決めなければなりません。少し疲れていれば、「今日はやめておこう」と考える。スマホを一度開けば、勉強を始める時間が少しずつ遅くなる。そして、「明日やればいい」に変わっていきます。

 これは、意志が弱い人だけに起こることではありません。

 毎日、自分を説得して机へ向かわせるのは、大人でも難しい。だから、自分の意志だけに任せない方法を使えばいいのです。

周りの「普通」を借りる

 自分の「普通」は自分一人でつくられるものではありません。周りの人が何をしているかにも、少しずつ影響されます。

 家でスマホを見ている時間が長くなれば、それが日常になる。反対に、隣で誰かが問題を解き、英単語を覚え、間違えた問題をやり直していれば、勉強している状態が少しずつ普通になっていきます。

 塾では、来た生徒が席に座り、それぞれの課題を始めます。分からなければ質問し、間違えれば解き直す。周りが勉強している中では、自分だけが勉強を始めるために、大きな決心をする必要はありません。

塾へ来る意味は、分からない問題を教わることだけではありません。勉強している人たちの中に、自分を置くことにもあります。

 週2回以上の通塾を勧めるのも、教わる時間を増やすためだけではありません。勉強している環境に身を置く回数が増えれば、「勉強している自分」の方が、少しずつ普通になりやすいからです。

今の立ち位置を、定位置にしない

 今の点数は、「現在の立ち位置」です。「これからも居続ける定位置」と決まったわけではありません。ただし、何も変えずに同じ毎日を続ければ、今の立ち位置が自分の普通になっていきます。

 実際、中学校から高校に進学しても、同じ順位帯に落ち着いていく生徒をよく見ます。なので、春と夏の定期テストでなんとかしてあげたかった!という悔恨は毎年起こります。

 中学生でも同じです。週に1回では学校の進度を追うことを優先するので、「定位置の変更」のための働きかけは、かけづらい。

 自分一人の意志で変えるのが難しければ、勉強している人たちの「普通」を借りてください。その中で勉強する時間を重ねながら、「自分はこのくらいだ」と思う位置を、自信を、少しずつ上げていきましょう。 

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この記事を書いた人

川上晃のアバター 川上晃 代表

 個別塾fabstudy代表。家庭教師・個別指導の現場で30年超。家庭教師派遣会社で上位認定を受け「スーパー」「プロ講師」、中学受験担当の家庭教師などを務めた。
 小学生から高校生まで、基礎・補習・テスト対策・高校入試・大学入試まで幅広く対応。これまでの生徒には高校の評定平均4.9到達という子もいるが、数学赤点から青山学院大学合格、3浪目で私立大学医学部合格など、厳しい状況から進路につながった例もある。
 指導で重視しているのは目の前の問題を解かせることだけではない。なぜ手が止まっているのか。どこに戻れば動き出すのか。どの量なら続けられるのか。学習が進まない原因を見極め、今取り組む内容・戻る場所・進める量を決めていく。
 基礎からやり直したい生徒にも、定期テストで得点を上げたい生徒にも、受験に合格したい生徒にも、今の状態から次に進むための道筋を具体的に作っていく。

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